皆さんご存じの「夕張メロン」。
実は「GI制度」に登録されている凄いメロンなのです。
ここでは「GI」とは何なのかをご説明します。
GIの正しい表記
GIは正式に表記すると「Geographical Indication」となります。
Geographical:地理的
Indication:表示
という意味です。ちなみに英語のI(アイ)ですので、「ジーアイ」といいます。
「ジーワン」ではありません。
GIとは
日本国内の様々な地域には長年培われた特別の生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性により、高く評価されている産品が多く存在してます。
これら産品のうち、品質や社会的評価などの確立した特性が産地と結び付いている産品については、その名称を“知的財産”として保護する制度が成立されました。
これが「地理的表示(GI)保護制度」です。
GI保護制度は、平成26年6月18日に成立し、平成27年6月1日より施行された特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)に基づき運用されています。
なんと夕張メロンはこのGI保護制度が始まった一番はじめに登録された産品のひとつなのです。登録日は平成27年12月22日となっています。
ちなみに、当時夕張メロンと同時に登録された産品は
- 青森県:あおもりカシス
- 兵庫県:但馬牛・神戸ビーフ
- 福岡県:八女伝統本玉露
- 茨城県:江戸崎かぼちゃ
- 鹿児島県:鹿児島の壺造り黒酢
夕張メロンを入れると全部で7種類です。
令和4年3月末現在では120種類の産品が登録されています。
GI登録をすることにより、模倣品(いわゆるニセモノです)が排除や産品の認知度が向上するメリットがあります。
また、GI保護制度は日本だけではなく、海外でも採用されている国があります。
そういった国々と産品リストを交換することによって海外でも日本国内で登録されている産品を保護してくれるようになります。
夕張メロンがGI登録を申請するまでの経緯
GI保護制度が始まる前から夕張メロンは有名であったのはもちろんのことですが、制度が始まってから申請に至ったきっかけは、大きく次の3点です。
ブランドをより確固となるものにするため
第一にGI登録をすることによって「国が『夕張メロン』にお墨付きをあたえる」ということにつながるためです。
国が認めた産品を栽培している生産者たちは、そのことを誇りに思い栽培を続けることになります。
特に若い生産者にとっては長く「夕張メロン」をつくり続けていくうえで励みになると考えて申請する方向になりました。
国内でのニセモノ対策のため
第二に、JA夕張市では、地域団体商標制度が開始される以前から、「夕張メロン」を苦労の末に商標登録し、独自にブランドを守ってきました。
その商標数は150件にも上ります。
GI登録をすることによって模倣品に対する保護をしてもらえます。
仮に訴訟になった際も負担がなく、市場おいてもさらなる差別化ができると期待し、申請する方向になりました。
海外でのニセモノ対策のため
海外に対する商標はアジア圏の一部の国で取得していたものの、模造品による被害が発生した際には、訴訟費用などの負担は莫大なものになります。
また、海外でのトラブルということもあり調査が非常に難しいです。
そうした中で、このGI制度は、日本国と他国の相互保護協定が結ばれた国では、GI産品が保護されるというメリットがありました。
実際にGI登録された後に平成28年頃にはタイで「夕張メロン」の模倣品が横行し、さらに香港でも流通していることが確認されていました。
農林水産省は、GIの不正使用に当たるとして、生産業者に警告状を送付し、名称を使用しない旨の誓約書を提出させることに成功しています。
GI登録された後の効果
GI登録となったことで『夕張メロン』は地域との結びつきが強い産品であることが、改めて明確になりました。
また、「夕張メロン」の品質やブランド価値の向上への意識と責任が高まり、生産者をはじめ、夕張メロンの販売に携わるすべての方々が「今まで以上に夕張メロンをより多くのお客様にお届けできるよう努力していかなければならない」と再確認ができたことが大きな効果です。
夕張メロンは昭和35年からスタートして約60年が経ちました。
GI登録のおかげもあって、今も多くの方々に愛され続けています。
参考:JA夕張市夕張メロンGI登録
https://www.yubari-melon.or.jp/gi
参考:地理的表示産品情報発信サイト
https://gi-act.maff.go.jp/